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1.Thailand -Emotional Moments-

ポートレートとは何だろう。

人物写真、と言ってしまえばその通りだ。

写真スタジオで撮影する家族の物語、携帯スマホでお母さんが子供を撮影する毎日の写真。

​これらもポートレートの一つかもしれない。

 

友達と日常で携帯で撮る写真、旅行に行ったとき家族で撮った何気ないスナップ、雑誌や広告で見た写真、SNSで毎日のように目にするたくさんの写真。

今日では、写真を目にしない日はない。

しかしながら、それらの写真の先に何があるのだろうか。

ポートレートとは本当に何なのか。

その答えが知りたくて、旅に出た。

 

スタートはタイ、チェンマイから。

バンコクで国内線へ乗り換え、タイ第2の都市チェンマイへ。バンコクの北方約720キロに位置し、この街は「北方のバラ」とも称されるくらい美しい古都。​

ホテルに到着してすぐ、早速街中へ撮影に出てみた。

路上でスパイスを売る親の周りで遊ぶ子供たち。路上で、チェンマイの街並みを描く青年。ヨーロッパからの観光客。

さらには北部へ車で民族が暮らす村へ。

たくさんの人々の、たくさんの表情に出会った。

2020年の新年を迎える瞬間は、チェンマイの大きな寺院で撮影していた。

今まで経験したことのない、厳かな元旦。

穏やかな気持ちで新年を迎えることができたことが、今でも鮮明に思い出される。

そしてバンコクへ。

数日間過ごしたチェンマイとは変わって、大都会のバンコク。

チェンマイでもそうだったが、バンコクに限らず仏教国タイは大きな寺院が多い。

仏教文化が根づき、古今の歴史と文化が見事に調和した都市とも言われるくらい、色々な顔を見せてくれる。

当然、そこで暮らす人々も、訪れる人々も様々な表情で撮影させてくれる。

3都市目に訪れたのは、バンコクから電車で約2時間弱、およそ80km北に位置する古都、アユタヤ。

アユタヤ王朝の都として、1350年から約400年間栄えた。 大河チャオプラヤー川と2つの支流が合流する地勢を活かし水運交易で発展したが、その後隣国ミャンマーからの度重なる交戦で衰退。

ワット・マハタートの有名な菩提樹の根に取り込まれた仏頭に代表されるように、アユタヤの悲惨な戦争による破壊の歴史がうかがい知れる。

この時点で撮影させてくれた方々は200人を超えた。

バンコクへ戻る列車の中で、ここまで撮影させてくれた人たちのたくさんの顔を思い出し、なぜか涙が出た。

何年かかるのか、わからないこのプロジェクト。

いつかまたこの旅を振り返るときに、この最初のスタートで得たたくさんの想いを忘れないでいたい。

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