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2.Bangkok, again -In the small box-
このプロジェクトを始めてすぐ、コロナ禍による影響ですべてがストップした。
最初のタイが2019年の年末~2020年1月年始。
その後2020年春以降に予定していたプロジェクトのすべてが止まってしまった。
そんな中、ようやく2022年秋、9月下旬~10月上旬、再開するチャンスがやってきた。
バンコクへ出張する機会ができた。
そこは、前回撮影した街。
同じところで再スタートも何かの縁かと思い、前回の撮影データを振り返る。
そして、欠けているピースがあることに気が付いた。
スラムの人々を撮影していない。
そう、ここに目を向けていなかった。
今回の旅先はバンコクの中でも、スラム街の人たちを撮影することに決めた。
雨季の終わりかけのバンコク。
この地域のスコールのような雨は降りだすと豪雨だが、1時間もすればまた晴れ間がやってくる。
早朝から準備。午後からまた雨かもしれない、と思い折り畳み傘を忍ばせる。
そして、最寄駅から歩いて向かうことに決めた。
駅から歩いて15分ほど。少し離れたエリアに、このスラムはあった。
わかってはいたつもりだが、ゴミの多さ、悪臭に驚く。
そして声をかけ始め、撮影する。
破れた靴を履いた子供たち。
家、という形をぎりぎり保っているだけの建物で暮らす人々。
歩いてこのエリアの人々を撮影していると、まるで小さな木箱のような建物から、少年が顔を出した。
そして何か不思議そうな、少し硬い表情。
他所からここを訪れる人は少ないのだろう。
訪問者を警戒しているのかもしれない。
しかしながら、すぐに笑顔になって、カメラに精いっぱいの強い視線をくれた。
前回の撮影とは切り口を変えたつもりだったが、笑顔やいろんな表情の根底は何も違いがないのかもしれない。
この場所にも、たくさんの幸福があった。
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